システム開発コラム集
Aceessでのシステム開発に関するコラム集です。
148.Accessでの開発におけるデータベース正規化の基本と実践
Microsoft Accessは、中小企業にとって手軽に導入できるシステム開発ツールとして長年活用されてきました。Accessでの開発は、コストを抑えながらも業務に即した柔軟なシステム構築が可能な点が大きな魅力です。その一方で、Accessでのシステム開発をはじめて検討する企業にとって、データベースの設計は大きなハードルとなります。
特に重要なのが「正規化」と呼ばれるプロセスです。
正規化とは、データの重複や矛盾を防ぎ、効率的かつ保守性の高いデータ構造を設計するための手法です。Accessでの開発においてこの正規化を適切に行うことで、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。
たとえば、「顧客管理」や「受注管理」などの基本的な業務アプリケーションでも、最初は一つのテーブルにすべての情報を詰め込んでしまいがちです。しかし、Accessでのシステム開発では、データの整合性を保つために「顧客」「商品」「注文」といった単位でテーブルを分け、それぞれに主キーを設定し、リレーションシップを用いて関連付ける設計が求められます。
第1正規形では、繰り返しのあるデータを排除し、1つのセルに1つの値のみを格納するようにします。
第2正規形では、主キーの一部にのみ依存する列を切り離し、より意味のあるまとまりへと構成し直します。
第3正規形では、主キー以外の列同士の依存関係も排除し、論理的に独立したデータを整理します。
Accessでの開発において、正規化の考え方は単なる技術的な知識ではありません。
中長期的にデータの信頼性や業務効率を確保するための基礎となるものです。Accessでのシステム開発を社内で成功させるには、見た目の動作よりもまず「設計」に時間をかけることが重要です。
特に中小企業では、Accessの特性を活かしながら、現場の業務に合ったシステムを内製化したいというニーズが高まっています。その中で、正規化された設計は、運用開始後の「使いやすさ」や「トラブルの少なさ」に直結します。Accessでのシステム開発の成否を分けるともいえるでしょう。
Accessは手軽であるがゆえに、つい設計を軽視しがちです。
しかし、基本に忠実な正規化を踏まえた設計こそが、業務に根ざした安定したシステムを生み出す第一歩です。Accessでの開発を成功させたい企業担当者にこそ、正規化の重要性をあらためて見直していただきたいと思います。