システム開発コラム集
Aceessでのシステム開発に関するコラム集です。
156.Accessシステムのパフォーマンスが遅い?改善テクニックまとめ
Accessでのシステム開発は、社内業務を効率化するうえで非常に効果的ですが、使い続けるうちに「最近重くなってきた」「画面の切り替えが遅い」といった悩みが出てくることがあります。Accessでの開発はローコストで柔軟性が高い反面、構造や運用方法によってはパフォーマンスが落ちることも少なくありません。
ここでは、Accessシステムの速度が遅くなる原因と、それを改善する具体的なテクニックを紹介します。
1. テーブルの分割(フロントエンドとバックエンドの分離)
Accessを複数人で利用している場合、すべてのデータが1つのファイルにまとまっていると非常に遅くなります。よくあるのが、フォーム、レポート、クエリ、データの全てが一体化したままの構成です。
改善策として、データ(バックエンド)と画面(フロントエンド)を分けることで、データアクセスが効率化され、動作が軽くなります。これはAccessでのシステム開発の基本的な設計方法であり、導入初期に見落とされがちなポイントです。
2. ネットワークの影響を見直す
Accessファイルを共有フォルダ上で直接開いていると、通信遅延が原因でレスポンスが悪くなることがあります。これはLAN環境の性能にも大きく左右されるため、特に大きなデータを扱う場合は要注意です。
できるだけフロントエンドはローカルPCに配置し、バックエンドだけを共有する構成に変更しましょう。これだけで体感的に大きく改善することがあります。
3. クエリの最適化
Accessで複雑なクエリを組みすぎると、処理が遅くなります。特に「ネストされたサブクエリ」や「非インデックス項目での条件指定」などはパフォーマンス低下の原因です。
改善策としては、必要な条件だけを抽出するシンプルなクエリに分割したり、インデックスを正しく設定することが効果的です。また、不要な結合を避けることも、動作速度の改善に直結します。
4. フォームやレポートの設計を見直す
すべてのデータを一度に読み込むフォームや、開くたびに重いクエリを実行するレポートは、遅くなる原因になります。
表示対象をフィルタで絞る、ページング処理を入れる、読み込みタイミングをコントロールするなど、設計を工夫することで大きく改善できます。Accessでの開発では、こうしたユーザーインターフェースの設計が意外とパフォーマンスに影響します。
5. 定期的なデータの整理と最適化
古いレコードが大量に蓄積されていると、検索や集計処理の速度が落ちます。また、削除したデータのゴミが残ったままだと、ファイルサイズが肥大化しやすくなります。
定期的に不要なデータを整理し、「最適化/修復」機能を実行することで、Accessファイル自体を軽く保つことができます。
Accessでのシステム開発は、中小企業の業務にぴったり合った仕組みを作れる反面、パフォーマンスの維持には工夫が必要です。動作が遅いと感じたら、今回紹介したポイントを一つずつ見直してみてください。
「遅いからAccessは使えない」と判断する前に、改善できる余地は多くあります。適切な対処をすれば、Accessシステムは今後も現場で十分活用できるツールとなり得ます。