システム開発コラム集
Aceessでのシステム開発に関するコラム集です。
182.Accessでのシステム開発を効率化するチーム運用の秘訣とは?
Accessによるシステム開発は小規模開発に向いており、1人でも開発が可能なツールとして多くの企業に浸透しています。しかし、開発対象が広がり、運用や保守、改修を含めた中長期的なプロジェクトになると、個人開発の限界が見えてきます。そこで必要となるのが「チームでのAccess開発」です。
Accessはもともと単体利用に強い設計ですが、工夫次第でチーム開発にも十分対応できます。この記事では、Accessシステム開発を複数人で効率よく進めるためのチーム運用の秘訣を解説します。
1. フロントエンドとバックエンドの分離は必須
Access開発を複数人で行う場合、最初にやるべきはフロントエンド(画面・ロジック)とバックエンド(データベース)の分離です。
これにより、データ部分を共有しつつ、各開発者が自分のローカルでUIや処理ロジックを独立して編集できるようになります。
これを行わないと、同じファイルを同時に開いて競合が発生し、ファイル破損のリスクが高まります。
2. モジュールと命名ルールの統一
Accessではフォーム、クエリ、レポート、VBAモジュールなど多くのオブジェクトを扱います。これらの命名や構造に一貫性がないと、チーム開発は混乱します。
おすすめのルール例:
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フォーム名には接頭語をつける(例:frm_、rep_、qry_)
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変数・関数にはコメントを残す
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処理モジュールは業務単位で分割する(例:mod_顧客管理)
明文化されたルールにより、コードの可読性と引き継ぎやすさが大幅に向上します。
3. バージョン管理とファイル共有の工夫
AccessにはVisual Studioのようなバージョン管理機能がありませんが、以下のような工夫で対応可能です。
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週次・日次でのバックアップを徹底
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ファイル名にバージョンや更新日を付加(例:app_20250725.accdb)
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GoogleスプレッドシートやNotionで変更履歴を共有
また、VBAモジュールをテキストとしてエクスポートし、Gitで管理するといった運用も有効です。
4. チーム内レビュー文化の構築
1人開発では見落とすミスや非効率も、チームでレビューすれば防げます。以下のような仕組みづくりが有効です。
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フォームや処理の設計意図を口頭で共有
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Pull Request的な申請・承認制の導入(フォーム追加・DB変更など)
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担当領域の明確化で互いの作業を干渉しないように
属人化を防ぎ、チーム全体の技術向上にもつながります。
5. 利用者の声を拾える仕組みづくり
運用フェーズではユーザーとの関わりが増えます。開発者は**「現場の改善パートナー」**である意識が必要です。
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改善要望・バグ報告を集める専用フォームを用意
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週1回の軽いミーティングで現状を共有
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TrelloやBacklogで開発状況の見える化
こうした取り組みで、ユーザーと共に育てるAccessシステムが実現します。
Access開発をチームで行うには、ツールの制限を超えた**「運用設計」**がカギです。
小さな工夫の積み重ねが、トラブルの少ない効率的な開発環境を生み出します。
Accessの柔軟性を活かし、チーム力で最大限の成果を引き出しましょう。