システム開発コラム集
Aceessでのシステム開発に関するコラム集です。
192.Accessでのシステム開発で業務効率が2倍になる「成果設計」の考え方
中小企業がシステム導入を検討する理由の多くは、限られた人員でより効率的に業務を進めたいという課題です。その解決手段のひとつが、Accessでのシステム開発です。低コストで柔軟に構築できる点は魅力ですが、開発の進め方を誤ると「システムを導入したのに業務があまり変わらない」という結果に終わってしまうこともあります。そこで重要になるのが「成果設計」という考え方です。
成果設計とは何か
成果設計とは、システムを開発する際に「どのような成果を実現したいか」を最初に具体的に定義し、その成果を実現するために必要な機能やデータ設計を逆算して考える手法です。単なる機能の羅列ではなく、ゴールから設計を始めることで、システムが本来の目的を果たしやすくなります。
例えば「顧客管理をしたい」では抽象的すぎますが、「問い合わせ対応にかかる時間を半分にする」「営業担当が過去の履歴を3クリック以内で確認できる」といった具体的な成果を設定することで、どの機能が必要かが明確になります。
成果設計の3つのステップ
- 業務の現状を数値化する
成果を測るためには、現在の業務状況を数値化することが不可欠です。
例:顧客情報の検索に平均10分かかっている、請求書作成に1件あたり15分かかっている。 - 理想の状態を描く
システム導入後にどうなっていたいかを明確にします。
例:検索時間を3分以内に短縮、請求書作成を5分以内に完了できる。 - 成果に直結する機能を決める
具体的な成果を実現するための最小限の機能に絞り込みます。
例:検索条件を複数組み合わせられるフォーム、請求書フォーマットの自動生成。
成果設計を取り入れるメリット
成果設計を行うことで、次のようなメリットが得られます。
- 無駄な機能を省ける
「あったら便利」レベルの機能を後回しにし、本当に必要な部分から着手できる。 - 開発の優先順位が明確になる
成果に直結する部分から作るため、短期間でも効果を実感できる。 - 社内の合意形成がしやすい
成果が数値で定義されているため、システム担当者と現場の間で認識のズレが起きにくい。
成果設計を怠った場合の落とし穴
成果設計をせずにAccessでのシステム開発を始めると、次のような落とし穴に陥りやすくなります。
- 機能が増えすぎて操作が複雑になる
- 現場で使われず、結局Excelに戻ってしまう
- 投資した時間や費用に見合う効果が出ない
これでは「システムを導入した意味がない」という状況になりかねません。
成果設計で業務効率を2倍にするために
業務効率を2倍に高めたいなら、「成果」を定量的に設定し、その成果を実現するための仕組みをシンプルに設計することが鍵です。
例えば「受注データの入力作業を半分の時間に短縮する」という成果を設定した場合、入力フォームを現場の担当者と一緒に検討し、最小限の操作で済むように設計すれば、大きな成果が得られます。Accessは柔軟にフォームやレポートを作り替えられるため、成果設計の考え方と相性が良いのです。
システム担当者へのメッセージ
Accessでのシステム開発は、単にシステムを作る作業ではなく、業務改善を実現するための手段です。成果設計を取り入れることで、「システムを導入したのに効果が出ない」という事態を避け、限られたリソースでも業務効率を2倍に引き上げることが可能になります。