システム開発コラム集
Aceessでのシステム開発に関するコラム集です。
151.Accessでのシステム開発を成功に導く要件定義の進め方
Microsoft Accessでのシステム開発は、コストを抑えつつ業務にフィットした仕組みを作れるため、中小企業にとって非常に魅力的な選択肢です。しかし、せっかくAccessで開発を始めても「思ったように使えない」「開発会社との認識にズレがあった」などの理由で失敗に終わるケースも少なくありません。
その多くは、プロジェクトの初期段階、つまり要件定義が曖昧なまま進んでしまったことが原因です。
Accessでのシステム開発を成功させるには、この要件定義の段階を丁寧に進めることが欠かせません。
Accessは、データベースと画面(フォーム)を一体的に作り込めるツールです。ですから、現場の業務フローや必要なデータ項目、帳票の形などをきちんと整理したうえで、設計に反映させる必要があります。
まず取り組みたいのは、「現在の業務を正確に洗い出す」ことです。
どのような情報を、誰が、いつ、どう扱っているのか。紙の台帳やExcelで処理している業務があれば、それも含めて一覧にしておくとよいでしょう。Accessでの開発では、こうした日々の作業を効率化することが大きな目的になるからです。
次に、「システム化する範囲」を明確にすることが重要です。すべてを一度にAccessで構築しようとせず、まずは特に負担の大きい作業や、手作業でのミスが多い部分に絞ることで、段階的な導入が可能になります。システムを使う社員のITスキルにも差がある場合は、操作性にも配慮した設計が必要です。
Accessでのシステム開発は、開発コストやスピードの面でもメリットが大きく、外注せず自社内で内製化することも視野に入れられます。ただし、要件定義が甘いと「作ってはみたが業務に合わなかった」となるリスクもあります。ですから、システム開発の経験がない担当者でも、以下のような視点で要件定義を進めていくことが大切です。
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現場の声を集める
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どの情報をどのように管理したいのかを明確にする
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業務の流れを図式化して共有する
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出力したい帳票や集計結果を事前にリストアップする
これらを踏まえて開発会社や技術者と話を進めることで、「イメージ通りのAccessシステムができた」と実感できる確率が高まります。
また、Accessでの開発に慣れていない企業にとっては、「Accessでもここまでできるのか」と驚くことも多いはずです。システム開発というと大がかりな印象がありますが、Accessでのシステム開発なら、中小企業の業務にフィットした現実的なIT化が可能です。
要件定義のプロセスを丁寧に進めることで、Access開発のメリットを最大限に活かすことができます。初めてAccessでのシステム開発を検討している担当者の方も、まずは現場の課題を見える化し、「業務に本当に必要なことは何か」を明らかにすることから始めてみてください。