システム開発コラム集
Aceessでのシステム開発に関するコラム集です。
153.Accessシステムの保守で見直したいポイント
Accessでのシステム開発は、短期間・低コストで業務に合ったツールを作れる点が魅力です。中小企業では特に、Excel業務からの脱却や、紙ベースの手作業を効率化するためにAccessを活用するケースが増えています。
しかし、導入後の「保守・運用」を軽視すると、思わぬトラブルや使いにくさにつながることも少なくありません。Accessでのシステム開発は導入がゴールではなく、運用しながら改善を重ねていくことが重要です。
まず見直したいのが、「バックアップ体制」です。
Accessシステムは、1つのファイルにデータと機能がまとまっている場合が多いため、トラブルが起きたときの被害が大きくなりがちです。定期的なバックアップの自動化や、フロントエンド(画面)とバックエンド(データ)を分離した構成になっているかを確認しましょう。
次に、「権限管理や操作ログ」の整備です。Accessは複数のユーザーが同時に使える一方で、誰がどのデータを更新したかが分かりにくい設計になっていることがあります。最低限、重要なテーブルへの更新履歴を残す仕組みを入れておくことが、トラブル防止につながります。
また、業務内容が変わってもシステムが放置されているケースもよく見られます。定期的に現場と話をして、「今の業務に合っているか?」「余計な入力項目はないか?」と見直すことで、Accessシステムの有効性を維持できます。
さらに、Accessでの開発時にVBA(Visual Basic for Applications)が使われている場合、プログラムの見直しやコメントの追加、処理の整理も大切です。開発者が退職してしまい、誰も中身がわからないという事態は中小企業で非常によく起こります。
そのため、「保守の引き継ぎ資料」や「簡易マニュアル」があるかどうかも、今一度確認しておきましょう。
Accessでのシステム開発は、柔軟性が高い反面、野放しにしておくとブラックボックス化しやすい傾向があります。運用歴が長くなるほど「とりあえず動いているからいいや」となりがちですが、業務の変化や人員の入れ替わりに合わせて、定期的に保守内容を見直すことが重要です。
Accessシステムを長く安心して使い続けるためには、「作ったら終わり」ではなく、「今のままでいいか?」を問い続ける姿勢がカギになります。社内で見直しが難しい場合は、Access開発に強い外部パートナーに相談するのも一つの選択肢です。
Accessを使った業務改善が長期的に機能するように、保守の視点からもシステムを見つめ直してみてはいかがでしょうか。