システム開発コラム集
Aceessでのシステム開発に関するコラム集です。
175.Accessでのシステム開発、導入前に確認すべきチェックリスト完全版
Microsoft Accessを使ったシステム開発は、低コストかつ短期間で業務効率化を図れる点が魅力ですが、導入前にしっかり準備しなければトラブルや失敗の原因になります。特にAccessはファイルベースのデータベースであり、扱い方次第で性能や安定性に大きな影響が出ます。そこで本記事では、Accessでのシステム開発を開始する前に必ずチェックしておきたいポイントを詳しく解説します。
1. 業務要件を具体的に整理できているか
システム開発における最初の重要ポイントは「何を解決したいのか」「どんな業務をサポートするのか」を明確にすることです。Accessで管理したいデータや業務フロー、必要な機能やレポートをリストアップしましょう。要件が曖昧だと開発途中で仕様変更が多発し、コスト増や納期遅延につながります。関係者と十分なヒアリングを行い、具体的な要求事項をまとめてください。
2. 同時利用ユーザー数と利用頻度の把握
Accessはファイルベースのシステムであり、多数の同時アクセスには向きません。通常10〜20人程度までの同時利用が推奨され、これ以上の場合はサーバーベースのDBMS(例:SQL Server)検討が必要です。ユーザーの業務時間やアクセスパターンも把握し、ピーク時の負荷を予測しましょう。過剰なユーザー数はパフォーマンス低下やデータ破損のリスクが高まります。
3. データ容量の見積もりと成長予測
Accessファイルの最大サイズは約2GBですが、実運用では数百MB程度に抑えるのが望ましいです。日々増加するデータ量を予測し、定期的に不要データを削除する運用ルールを決めておきましょう。また、顧客情報や売上履歴のようにデータが増え続ける用途の場合、将来的な移行計画も検討すべきです。
4. セキュリティ対策の準備
Accessはファイル単位の管理なので、不特定多数がアクセス可能な環境では情報漏えいのリスクがあります。ユーザーごとのアクセス権限設定やパスワード管理、ファイルの保管場所の物理的な安全確保が必要です。またネットワーク共有の場合はアクセス制御やVPNの利用を検討しましょう。法令遵守のため個人情報保護も徹底してください。
5. バックアップ体制の整備
データ破損や誤操作に備え、バックアップは必須です。日次・週次など定期的にバックアップを取得し、複数の安全な場所に保存する運用ルールを確立しましょう。復旧手順のドキュメント化も重要です。Accessは破損リスクが高いため、こまめなバックアップとテスト復旧を心がけてください。
6. 担当者のスキルと開発体制の確認
Accessの操作やVBAプログラミングを担当するスタッフのスキルレベルを把握し、不足している場合は研修や外部委託を検討しましょう。保守・運用を考慮し、開発だけでなく運用も含めた体制を明確にすることが重要です。担当者の負担が偏らないよう複数名でフォローする体制を作ると安心です。
7. 既存システムや他ツールとの連携検討
Excelや帳票システム、クラウドサービスとの連携が必要かどうか事前に確認しましょう。Accessは外部ファイルのインポートやエクスポートが得意ですが、連携部分の設計・開発が必要です。APIを利用した自動連携や手動でのデータ同期の運用ルールも検討してください。
8. 予算とスケジュールの現実的な設定
費用と開発期間の目安を関係者で共有し、無理のない計画を立てることが大切です。仕様変更や追加機能は後で増えやすいため、余裕を持ったスケジュールと予算を確保しましょう。初期段階で詳細な見積もりを複数社から取得することをおすすめします。
Accessでのシステム開発は低コストで導入しやすい一方、使い方や運用次第で問題が生じやすい面もあります。上記のチェックリストを事前に確認し、計画的に準備を進めることでスムーズな導入と安定した運用が可能になります。