システム開発コラム集
Aceessでのシステム開発に関するコラム集です。
178.Accessでのシステム開発の未来予測:これからのシステム開発はどう変わる?
Microsoft Accessは、1990年代から多くの企業や自治体の業務システム開発に利用されてきました。導入コストの低さと使いやすさから、今も根強いニーズがあります。しかしクラウドやノーコードの台頭により、Access開発の立ち位置も大きく変わろうとしています。ここでは、今後Accessがどう進化していくのか、そしてAccess開発がシステム開発全体の中でどう位置づけられていくのかを予測していきます。
クラウド時代におけるAccessの再定義
近年のシステム開発では、オンプレミスからクラウドへの移行が加速しています。Accessは基本的にローカル環境で動作するため、クラウド化との相性に懸念があると見られがちです。しかし、AccessはMicrosoft 365と連携し、SharePointやOneDrive上での利用が可能になっています。これにより、ローカルとクラウドのハイブリッドな使い方が現実味を帯びてきました。
今後は「デスクトップアプリ単体」から「クラウド連携型システムの一部」としての役割が強まっていくと予想されます。
SQL Serverとの連携によるスケーラビリティの向上
Accessは大規模な同時アクセスやデータ処理には弱いと言われていますが、バックエンドにSQL Serverを用いることで、パフォーマンスや信頼性を向上させることが可能です。すでに多くの現場では「Access+SQL Server」の構成が採用されており、今後はこれがさらに標準化していくでしょう。
Accessはフロントエンドとして活用し、データ処理はSQL Server側で行うという役割分担が、将来のAccess開発の基本スタイルになると考えられます。
ノーコード・ローコードとの競合と共存
最近は、Power AppsやNotion、Airtableといったノーコード・ローコードツールの登場により、非エンジニアでも業務アプリを作成できる時代になりました。この流れの中で、Accessはやや古い技術と見なされることもあります。
しかし、Accessはローコードツールとしての一面をすでに備えており、VBAやマクロを使った柔軟な拡張も可能です。特に帳票出力や複雑な業務ロジック処理に関しては、ノーコードツールよりも現実的で強力です。AccessとPower Platformの連携によって、新旧技術のハイブリッド活用が今後進む可能性があります。
エンジニア不足とAccess人材の再評価
深刻なIT人材不足の中で、即戦力として動けるAccess技術者の需要が再燃しています。中小企業や自治体では、いまだAccessベースのシステムが稼働しており、その保守や再開発には専門的なスキルが必要です。
今後、Accessに熟練した技術者は「レガシー対応の職人」ではなく、「現場に密着した業務最適化のエキスパート」として価値を高めていくでしょう。若い開発者がAccessを敬遠しがちな中で、逆にベテラン人材の知見が再評価される動きも出てきています。
Access開発の未来は「つなぐ力」
Access単体で完結する開発から、クラウドや外部システムと「つなぐ」開発へ──これが今後のAccess開発の進化方向です。ExcelやPower BIとの連携、APIを介したデータ連携など、Accessは「つなぎ役」としてのポジションを確立していくでしょう。
最新技術を追うだけでなく、現場の実情に即したシステムを提供できる柔軟性が、Access開発の最大の武器です。これからもAccessは、実務に根ざした“現場主義”の開発を支え続ける存在であり続けるといえます。